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主にTwitterで活動する、保守層に定評のある井上太郎@kaminoishi氏が、靖国神社についての持論を展開した。

終戦記念日の前日にあたる8月14日のTwitterで、井上氏は自身が無宗教であることを告白。終戦記念日に「靖国」に昇殿参拝するにあたり、下記のように述べている。

  • 私は敢えて靖国と言います
  • 靖国神社はあくまでご神体のある神社
  • 終戦記念日の明日は、鎮魂の杜靖国
  • 宗教とは関係ない英霊への感謝と、その意思を引き継ぐ決意の参拝
  • 総理が出来ないのなら多くの国民が補います
  • 靖国は宗教ではない「鎮魂の杜」
さらに、
  • 靖国神社の御神体は「御鏡、御剣」で御祭神が「英霊」
  • 何回も靖国参拝したと言ってる人が堂々と御神体は英霊と間違いをツイートしてます 大笑

と、「御神体」と「御祭神」を混同している人達に対し挑発した。

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「靖国神社」を「宗教法人の靖国神社」と「宗教と関係ない『靖国』」とに分けるという考え方は、きわめて珍妙であると言わざるを得ない。というのも、「参拝」という行為それ自体が宗教的な行為であり、「英霊」を思うことも「鎮魂」を行うという考えもまた、宗教的な行為に他ならないからである。

終戦記念日だけ「宗教法人の靖国神社」が「鎮魂の杜の靖国」になるという発想も奇異である。
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この理屈で言えば、伊勢神宮も首相閣僚の参拝が慣例となってる1月4日だけ、「宗教法人の伊勢神宮」から「日本国の伊勢」になることになる。

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井上氏は、安倍総理の8月15日靖国参拝が実現しないことを問題視し、自身が無宗教である理由から、「無宗教の昇殿参拝」という新たな発想を得て持論を展開するにいたったのだろうか?

しかし、そのような斬新な発想を行う必要はない。靖国神社はいかなる宗教の人物も参拝できるからである。このことは、カトリックである前内閣総理大臣の大平正芳や麻生太郎、世界各国の要人らが靖国神社を参拝していることからも、良く分かる。


靖国神社は、終戦後の対占領軍政策として、宗教法人になったにすぎない。

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国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、戦後に制定された日本国憲法制定後の政教分離の原則にしたがい、特定の宗教によらない形で、また、戦死者だけでなく戦没者をとむらう墓苑として、設けられた。こちらも、「それぞれの信じる形式で」参拝できる。無宗教であるならば、その思想を貫き、参拝も慰霊もしなければ良いだけの話だ。

井上氏の「御神体」と「御祭神」を混同する人を嗤い挑発する行為も、知識の披瀝に過ぎず、大人気ない。靖国神社はそこに英霊がまつられていることこそが肝心なのであり、それは参拝する誰もが知るところだからである。

靖国神社の公式ホームページなどにおいても、「御神体」について特段に記述してはおらず、「祖国を守るという公務に起因して亡くなられた方々の神霊」「国を守るために尊い生命を捧げられた246万6千余柱の方々の神霊」について解説するのみである。ただし、一般的に「英霊」は御神体と一体として祀られていると考えられており、実際靖国神社も「霊璽簿」(れいじぼ)の説明において「合祀」という言葉を用い、英霊と御神体を一体とみなすような解釈が付加されている。

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井上氏の、靖国神社を「宗教法人の靖国神社」と「鎮魂の杜である靖国」に分けるという発想は、靖国神社を否定する思想の人々の「靖国神社に替わる無宗教の施設の設置」という発想にきわめて近いのではなかろうか。

保守層に定評のある井上氏であるが、今回の“靖国神社独自解釈ツイート”で支持者が離れていきそうな気配だ。

2015年8月16日
天之加久矢

参考:
井上太郎twitter
https://twitter.com/kaminoishi

靖国神社
http://www.yasukuni.or.jp


霊璽簿奉安殿(靖国神社)
http://www.yasukuni.or.jp/precincts/reijubo.html


国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑
http://www.boen.or.jp

伊勢神宮
http://www.isejingu.or.jp/