自分が気に入った物事を他人や相手に伝える、基本的にはみな同じような意味をもつ「お薦め」「お勧め」「お奨め」。国語辞典を引いても違いについて記述してあるものはない。実際に辞典をひいてみると、とりわけ「お勧め」と「お奨め」は同様の発音で全く同じ意味をもつなどと説明されてしまっている場合が多い。しかし厳密にはきちんと違いがあるのだ。
日本語

[お薦め]・・・推薦すること。「○○さんを委員長にお薦めします」といった場合に用いる。人をオススメする際には必ずこれ。
[お勧め]・・・「~したらどうですか?」の意味。「焼酎は水割りもいいがお湯割りもお勧め」といった場合に用いる。
[お奨め]・・・「~してみてください」の意味。「お勧め」よりほんのちょっと自分寄り。「焼酎はお湯割りがお奨め」など。
上記のように微妙な違いが存在している。どれを用いるべきかわからない場合には、「おすすめ」「オススメ」と平仮名・片仮名表記してしまうのが良いだろう。日本語の難しさとはこういうところにある。

余談になるが、外国人が日本語を世界で最も難しい言語の1つと認める理由はこういう部分にある。会話は慣れると比較的簡単であるそうだが、「書き」が非常に難しいのだという。まず常用漢字を約2000字ほど覚えなくてはならず(新聞を読みこなすには4000字)、文章を書く場合には文脈などによって漢字・平仮名・片仮名のどれを使うか迷うことになる。また立場によって敬語や謙譲語を使いこなさねばならず、さらにそれらに程度によって段階も存在している。日本人ならば日本語を扱うことが当然であるから「お薦め」「お勧め」「お奨め」の違いを知ればそれだけでなるほどと使いこなすことが出来るが、外国人にとってはかなり高度なことをしているようにみえるのが日本人の操る日本語なのだ。我が国の言語に誇りをもとう。


赤松伊織