2013年、日本では13番目となる世界遺産に登録された富士山。古来より日本の象徴としての扱いを受けてきた名高い山で、その姿は「優美」「雄大」「壮麗」などといった言葉がしっくり当てはまるだろう。実に見事なたたずまいだ。その堂々たる姿は世界一と言っても決して言い過ぎではない。
富士山

しかし富士山はたくさんの問題を抱えている山でもある。第一に挙げられるのがゴミ問題だ。富士山は過去にも文化遺産化を狙った時期があったが、ゴミの不法投棄による環境汚染が原因となり登録できなかったというエピソードが存在する。現在ではボランティアや登山客、有志らによる活動で改善してきてはいるが、近年の観光客激増に伴いほとんど平行線。このままでは土壌汚染が進み、地下水汚染、生態系の破壊まであり得る事態だという。特にマナーのなっていない外国人ツアー客がゴミを投棄する例が急増しており、事態は深刻。糞尿を直接地面に垂れ流す例すらあるという。外国語で注意を促す立て看板の設置も進んでいるというが、あまり看板を立てすぎると景観を失ってしまうためそれも問題だ。地元ではパンフレットやインターネットで入山のマナーを促している。

富士山、登山客の質低下と定員オーバーでユネスコが是正求める(豊受真報過去記事)
http://toyouke.ldblog.jp/archives/40826375.html

また観光客激増によって、一番人気のある時期の7~8月には入山客過多な状態が続く。ピーク時には山道をすれ違うのも苦労するほどの混み合い様で、まれに観光客どうしの喧嘩も起きるという。このことは当サイトの過去の記事でも触れたとおりだ。ほかにも静岡県側と山梨県側の意見の対立、省庁の管轄問題などがあり、世界遺産化してからさらに激化。世界遺産は日本にとって喜ばしいことである一方で、地元住民や管理側では争いが絶えない。日本にとって大きな存在である富士山だけに、問題も山積みといったところだ。

富士山の環境保全について、資金工面のため山梨・静岡両県や富士山麓の市町村などは、富士山の入山料(正式名:富士山保全協力金)徴収を開始した。徴収は2009年頃から試験的に開始され、当初は2000円であった料金も2013年から1000円に値下げ、本格導入している。しかしこれには法的拘束力がないため、観光客が支払うかどうかはあくまで「任意」であり、支払いも年間を通してではなく、年ごとに期間が設定されている(例:2014年の場合は6月20日~9月14日の期間の登山者が支払うといった形式)。支払い方法は「現地徴収」にくわえ「インターネット支払い」「コンビニエンスストア支払い」の事前納付があるが、入山料の存在を知っていながらもタダで入山する例が多発、法的拘束力がないため規制もできない状態が続いている。なお運営側は、入山料金を支払うと記念品として「缶バッヂ」がもらえる仕組みをとって現在のところは凌いでいるが、効果薄。

この状態に対し、富士山愛好家の間では様々な意見が噴出している。「入山料金を強制することはできないか」「入山料金を値上げすることで観光客過多を抑制できるのではないか」「環境保全に必要な資金を国からも工面できないか」「法的拘束力で違反をもうけ、罰金、罰則を導入できないか」などなど。たしかにそれらの意見はもっともだ。そしてこれは世界遺産になった以上、地域の問題ではなく、日本国民にとっての問題だ。日本全体で考えていかなければならない。
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(参考)

富士山における環境保全の取り組み(環境省)
http://www.env.go.jp/park/fujihakone/effort/fuji.html

富士登山オフィシャルサイト(富士山における適正利用推進協議会)
http://www.fujisan-climb.jp/

ライブカメラ富士山ビュー(静岡県)
http://www.pref.shizuoka.jp/~live/


赤松伊織